- 1.水質検査について
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- Q新聞などで見かけるレジオネラってなに?
- A
レジオネラは、土壌や河川など自然環境に広く生息している細菌です。ぬるい水を好み、アメーバなどの原生動物に寄生して増殖します。
ちなみに「レジオネラ」という名前は、1976年にアメリカの在郷軍人会総会(the Legion)で集団発生したことにより発見されたことが由来となっています。
- Qレジオネラ症ってどんな病気?
- A
レジオネラ症は主に肺炎として現れます。特に高齢者や糖尿病患者など抵抗力の弱い人で発症しやすく、また他の細菌性肺炎との区別がつきにくいため、早期治療を行わなかった場合の致死率は非常に高くなります。
- Qレジオネラ菌の主な感染経路は?
- A
レジオネラ属菌は、土壌や淡水から土埃とともに運ばれて、人工の池や滝、噴水、循環式浴槽、プール、加湿器などに入ります。水が停滞するような温かい場所ではぬめり(生物膜)が形成され、そこに繁殖したアメーバなどにレジオネラ属菌が寄生し、増殖します。最後にエアロゾル(小さな水しぶき)などを介して、レジオネラ属菌を人が吸い込むことで感染します。
- Qどんな水に検査が必要なの?
- A
代表的なものとして、浴槽水、冷却塔(クーリングタワー)、プール、噴水や人工池、ミスト噴霧装置、加湿器などが挙げられます。人が直接水に接触する施設や、エアロゾルが発生する設備があれば、検査を受けることをお勧めします。
- Q一般家庭でも感染のリスクがあるの?
- A
水道水を使う限りリスクは高くありません。
ただし、循環浴槽(いわゆる24時間風呂)や超音波式の加湿器などはリスクが高いので、配管や機器内部の定期的な清掃が必要です。
- Q循環式浴槽でのレジオネラ症防止対策はどんなものがあるの?
- A
- 浴槽水の塩素濃度などの測定を1日に1回以上実施します。(入浴者数やその他の要因により回数は増やします。)
- 浴槽水は1週間に1回以上の完全換水を行い、清掃と殺菌・消毒を行います。
- 浴槽水の検査は毎日換水している施設では、1年に1回以上、その他は1年に2回以上のレジオネラ属菌検査とその他の検査を実施します。
- 貯水タンクの温度は、60゜C以上に保持します。
- 集毛器(ヘアーキャッチャー)は、毎日清掃します。
- 消毒装置はチューブのエアかみや薬液による固化などの吐出不能の確認を実施します。
- ろ過器は逆洗浄を行い、必要に応じて薬品を使った高濃度殺菌洗浄を実施します。
- Qお風呂以外の水はどうやって管理したらいいの?
- A
プールや人が入ることを想定した人工池も、浴槽と同様の衛生管理を行うことが求められます。
また、業務用の加湿器やミスト噴霧装置は、水道直結にすることが望ましいです。貯水タンクを使う場合は、毎日の残留塩素濃度測定と定期的な洗浄・消毒を行いましょう。
いずれの設備においても、季節営業などの休止期間がある場合は、タンクや配管内で菌が増殖している可能性があるので、運転前清掃と検査を行うと良いでしょう。
- Qお風呂の水を飲んじゃった…
- A
もし浴槽水にレジオネラがいても、水を飲むだけでは感染しません。ただし、溺れてしまった場合は、水と一緒にレジオネラが肺に入った可能性があるので、発熱や呼吸器症状がでてきたら医療機関を受診し、お風呂で溺れたことを医師に伝えてください。
- 2.食品検査について
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- Q消費期限と賞味期限はどう違うの?
- A
消費期限は安全性を、賞味期限は品質の保持を担保する用語です。
○期限を過ぎて食べたら具合が悪くなるかもしれない⇒消費期限
○期限を過ぎて食べたら美味しくないかもしれない””目安””⇒賞味期限
以前は期限が5日以下を消費期限、5日を超えると賞味期限と区別されることもありましたが、
現在は日数によって区分していません。
- Q期限が切れた食品は食べられないの?
- A
消費期限が切れた食品はその安全性を担保できないので、食べることは避けてください。
また、製造者が再利用(加熱して別の製品に作り直す等)することは不適切といえるでしょう。
一方賞味期限は、期限を過ぎてもすぐに食べられなくなるわけではないので、
食品ロスの削減に取り組むうえで、賞味期限を再利用日とすることは十分に考えられます。
この時に、食品の特性を理解し、それに応じた検査を実施していることが重要です。
- Q期限設定のために検査はしないといけないの?
- A
期限の設定は科学的かつ合理的に行うことが必要です。
他社で見た目は同じような製品を取り扱っていても、原材料や製造方法、製造環境が違えば検査結果も変わります。
責任をもって期限表示するためには検査は必須といえるでしょう。
- Qすべての製品について検査しないといけないの?
- A
本来は製品ごとに検査を行うことが望ましいです。
しかしながら、製品を特性ごとに分類し、代表的なものを検査することも可能です。
どのように分類したらいいかわからない場合は、お気軽に相談ください。
- Q期限設定のためにはどんな検査をしたらいいの?
- A
適切な期限設定のためには、食品の特性に応じた検査項目を選ぶ必要があります。
例えば、冷蔵製品であれば「低温細菌」を、真空包装や脱酸素を行う製品であれば「嫌気性(芽胞)菌」を、それぞれ一般的な衛生指標として用いられる一般生菌数や大腸菌群と組み合わせると効果的です。
また、微生物検査以外にも、pHや水分活性、酸価、過酸化物価等の理化学検査も有効です。
- Q安全係数ってなに?
- A
安全係数は、製品の品質のばらつき等を考慮して、設定期限と検査日の間の日数を決めるときに使う数字です。
一般的には微生物が増殖しやすい食品(消費期限設定の弁当や惣菜)は安全係数を0に近づけ、品質が変わりにくい食品(レトルト食品等)は安全係数を1に近づけます。
例1)菓子の消費期限を3日にしたい→安全係数0.8→「3÷0.8=3.75」⇒4日後に検査
例2)冷凍食品の賞味期限を6か月にしたい→安全係数1→「6÷1=6」⇒6か月後に検査
- Q食品特性に応じた検査項目ってなに?
- A
食品特性に応じた検査項目とは、食品そのものの特性のほかにも、包装形態や保存温度等を総合的に考慮した危害要因に対応する項目を指します。
以下に例をまとめましたので、ご参照ください。●食品分類によるお勧めの検査項目
〇弁当(米飯類);セレウス菌、黄色ブドウ球菌
〇餅;真菌、セレウス菌
〇生洋菓子;サルモネラ属菌
〇惣菜類;腸管出血性大腸菌(O157)、腸炎ビブリオ(魚介類)、カンピロバクター(食肉)
〇ヨーグルト;酵母、大腸菌群●包装形態や保存温度によるお勧めの検査項目
〇保存温度が冷蔵の食品;低温細菌
〇レトルト食品等の真空包装食品;嫌気性芽胞菌
- 3.安定化二酸化塩素について
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- Q安定化二酸化塩素とはどういうものですか?
- A
安定化二酸化塩素は元来不安定で刺激性のある二酸化塩素ガスを水溶液中に安定的に溶解させ化学薬品として容易に使用できるようにされたものです。塩素とは異なり強力な酸化作用で微生物を攻撃し、また悪臭物質を分解します。二酸化塩素はWHO(世界保険機構)でもその安全性を認め、A1ランクに認定されています。日本では小麦粉の殺菌剤として使用され、パルプの漂白、プール水の殺菌、飲料水の殺菌に認められています。
- Q安定化二酸化塩素による殺菌を教えてください。
- A
二酸化塩素は塩素と異なり、酸化作用により微生物を攻撃します。次亜塩素酸ソーダのようにトリハロメタンのような副生成物の産制がごく微量であり、ウィルスや芽胞菌にも効果があり現在まで耐性菌の出現は認められていません。二酸化塩素による殺菌は文献では滅菌に近いともいわれています。
- Q安定化二酸化塩素による殺菌や消臭の分野を教えてください。
- A
二酸化塩素による殺菌や消臭はさまざまな業種で使用されています。微生物制御が必要な場所、悪臭の発生する場所など用途は数多くありますのでお困りの分野についてお問い合せください。